WWDC 2020を見て

日本時間で6/22の深夜2時ごろに、WWDC 2020が開催されました。

僕はWWDCを見るためだけに深夜2時まで起きている気力はないので朝のニュースで確認しましたが、ニューストピックスとして大きく取り上げられていたのはやはり、”ARMベースCPUに切り替える”という点です。

AppleがIntel CPUから自社Aチップを使った独自CPUに移行するという話は2016年ぐらいから噂されていた話でした。
元々Intel CPUを使う前は、IBM製のPowerPCを使っていた経緯もありますのでApple的には特段驚く様な決断ではなく、むしろAppleらしいと思います。

期待されていたハードウエア の発表はなかった様で、ちょっと残念でしたけども。

ARMベースのCPUのスペックは如何に!?

AppleはARMベースmacへの移行に利用できる開発マシンとして、A12Zを搭載したMac miniを開発者向けに500ドルで貸し出しする様です。

で、mac miniはどうやったら入手できるんでしょうかね?Apple Developer Programに登録している人なら可能なのか。その辺りは続報を待つ感じになりそうです。

なお、A12Zのスペックはどんなものなんだろうと、Geekbench Browserを漁って見ました。
このA12Zは、2020年に発表されたiPad ProのSoCで、A12XのGPU性能を強化させたバージョンです。

これに相当するIntel製のCPUは、大体Core i7-7700Kぐらいの様です。

注目すべき点は動作周波数で、Intel製の7700Kは4.2GHzに対し、
A12Zは2.49GHzです。これはおそらくA12Zのプロセスルールが7nmのため、クロックあたりの処理性能が7700Kよりも優秀だからでしょう。

ARMになると何が変わる?

Aチップは簡単に言うと、iPhoneやiPadに使用されているCPUです。

Appleとしては、モバイル向けに開発されているアプリの方がmacOS向けのアプリよりも遥かに多いでしょうから、それがこのARMベースmacによってモバイル向けに開発されたものは当然macOSでも動くとなると、出先ではiPadやiPhoneで作業して家ではパワフルなマシンパワーを使ったmacで行う。そしてそれらが全てシームレスに繋がることを意味します。これはクリエイターにとって、ワークフローに大きな変化があるだろうと期待しています。

つまり、これはPCからモバイルアプリへの移植が主流だった流れが、その逆であるモバイルアプリからPCへと転換したことを裏付けるAppleの明確な意思表示なのでしょう。そして、Intel CPUからARMベースへ移行の最大のメリットはここであると考えています。

しかしながら負の側面もあります。
というのも、Appleは以前からOpenGL/CLを非推奨扱いとし、Metalへの移行を促してきましたが、ARM版移行でOpenGL系のライブラリは完全に廃止されそうな予感がするからです。

OpenGL/CLのライブラリが完全に削除されるとどうなるのか?
Metal移行できていないOpenGL系のアプリは全滅するでしょう。

例えば、無料ながらも高機能な3DCG系のツールで有名なBlenderはMac版のBlender開発中にmacOS内のOpenCLライブラリにバグに悩まされてきた経緯があり、2.8系の開発の際もCUDAとOpenCLのみの最適化に留めています。このことからMetal対応には消極的な姿勢なのでしょう。Blenderは今後Windows版とLinux版のみの提供となる可能性は大いにありそうです。

他にも、3DCG系のツールでOpenGLが廃止された際の対応をAppleの出方を見ながら探っている様ですが、現状nVidiaのGPUに最適化されているツールの方が多く、依然としてmacOS環境での3DCG制作は厳しい状況におかれそうな感じです。

尚、macの値段に関しては、あまり安くはならないでしょうね。
利益率が良くなるだけかもしれません。Intelに払っていたプレミアム代金が今後の研究開発費へスライドするだけかと思います。

GPUはどうなるか?

現在macに搭載されているdGPUはAMD製ですが、この関係性は維持されるでしょう。
今までのiGPU = Intelだったものが、単にAチップに搭載されているiGPUに挿し変わるだけでしょう。dGPUは依然としてAMD製を使うと思われます。

Bootcampとか

通常のWindowsはおそらく動かなくなるんじゃないかと思います。
IntelやAMD CPUはx86系アーキテクチャだからです。
ですが、Surface Xに搭載されているARM版のWindowsならネイティブで動かせるかもしれません。

個人的にはWindowsを使いたいなら、素直にWindowsマシンを買う方がいいと思いますけども。
Windowsマシンは安価でカスタマイズしやすいのがメリットですからわざわざ高いmacを買ってまでwindowsを走らせることのメリットは少ない気がします。。。

どうしても、Windowsを一時的に使用しないといけないなら、VMWareとかParallelsあたりで動かせばいいんじゃないかな。知らんけどw

macの買い替えについて

現状、僕が使っているmacはMacbookPro 15インチの2018年モデルのものですが、スペック的に力不足であると感じるまでには至っていませんので、当面は買い替える予定はありません。また、ARM版になってしばらくはハード的にもソフト的にもトラブルが想定されるので、2世代目以降になって技術的な問題がある程度解決して安定化してからがいいんじゃないでしょうか。というのが正直な感想です。

また、スペック的にも現行macは同価格帯のWindowsデスクトップクラスのマシン性能と比較しても、性能が高いとはいえませんのでしばらくはWindowsとmacを併用し、スペックが必要ならWindows機という運用で問題ないと思ってます。

いずれにしても、今回の発表は僕的には肯定的な印象であると感じていて、今後が楽しみです。

よかったらフォローしてね!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA